あなたのキャラクターが物語に入りづらい理由

TRPGは自分で演じるキャラクターや役割を作って遊ぶゲームです。そのため、マンガやアニメ、映画、ゲーム、リプレイなどで見た魅力的なキャラクターの造形や動きを見て、「自分もこんな風にRPしたい!」とそれらをイメージすることは珍しくありません。

しかし、思ったように動いてくれなかったり、上手くストーリーに入っていけないことや、周りから浮いてしまったような状況になることが。

この原因は、「TRPGと作品の違い」にあります。この違いを理解せずに「自分の理想のキャラクター」を作ってしまうと、セッションで上手く動いてくれない可能性があります。

思うようにいかない

PCを作ったり、シーン内でRPしたりする上で、マンガやアニメ、ゲームなどの「作品」をイメージ元にすることは非常に有効です。

特に、「お気に入りの作品で、好きなキャラクターや推しキャラクター、あるいはそれらが活躍しているシーン」は、ソレを再現するために自分のPCを作りたくなるほどの魅力を秘めています。

たとえば、「圧倒的な推理力や知識を持つ名探偵が難事件に巻き込まれ、華麗に解決する物語」に触れ、名探偵や難事件を仕組んだヴィランに憧れることはとても自然なことです。

同じTRPGでたとえるなら、「思わず全巻一気読みしたり、全話一気見したほど面白かった本や動画リプレイ」でのキャラクターやシーンなどですね。

では、何故あなたが実際にそれらを目指してキャラクターを作り、セッションに参加しても上手くいかないのでしょうか。また、何故他の人は同じようなキャラクターの作り方をしても、スルッとストーリーに入っていけているのでしょうか。

そのカギは、作品とTRPGの違いにあります。これを知っているかいないかで、本当の意味でセッションに参加できるかどうかが決まっていきます。

作品は全てが予定調和

「作品」とTRPGとでは、根本的に違うものが1つあります。それは、作品は基本的に全てが予定調和だということです。

これはなにも、「マンガやゲームは全部ご都合主義だ」とかそういうことを主張するわけではありません。そうではなく、作品においては全て、個々の役割や動きは決まっているということです。

物語の登場人物は、他のキャラクターやストーリーそのものがサポートしてくれることによってストーリーに入っていけるようになっています。

たとえば、廃墟を探索するホラーストーリーに「面倒くさがりの学生」や「警察や管理人に任せた方が良いと考える人」がいたとしても、周りが強引に廃墟に連れ込ませたり、怪異が彼らを巻き込むことで物語に強制的に参加させることができます。

ですが、TRPGでPCが同じように「物語への参加に積極的でない」と、他のキャラクターやストーリーによるサポートがないため物語に参加しづらいだけになります。

これは、性格だけでなく能力についても同じです。「洞窟の奥に潜む強大な魔物を討伐する」というストーリーに、いくら周囲の異性が振り返る美貌を持ち、社交術や交渉術に長けていてもそれだけでは全く役に立たないことがわかると思います。

それらのムダな能力のために、マスターが用意した魔物や罠、謎解き等に対処するための作成ポイントを割いてしまうと、「活躍できずにただいるだけのキャラ」になってしまいます。

「作品」でそういった「一見ムダな能力が、状況が嚙み合って大活躍するシーン」があるのは、全て予定調和だからです。作者が、そうなるように描いたからに過ぎません。作品ではないTRPGという舞台では、これをただ真似てはいけないのです。

物語にしっかり参加して活躍できるための3つの方法

ここまで、「ストーリー参加に適していない性格や能力だと物語に入り込みづらくなる」という話をしてきました。では、どうすれば良いのでしょうか。

対策は3つあります。しかもそのうち2つは、「ストーリー参加に適していない性格や能力」なPCのまま活躍させることができる方法です。

素直にシナリオに合った性格や能力を用意する

1つめは、マスターが用意したシナリオやストーリーにしっかり沿ったキャラクターを用意することです。

当たり前ですが、ホラーシナリオでは怪異に遭遇したり挑んだりするキャラクターが活躍しやすいですし、ヒーローシナリオではヒロインや街の人々を守ることに積極的なキャラクターが向いています。

これを「テンプレ」「ワンパターン」「陳腐」とするか、「王道」「正統派」「定石」とするかの違いだけです。

ただ、事実として「お決まりの」「お約束の」キャラクターや展開は、全員が認識を共有しやすくイメージに負担がかからないというメリットがあります。

いじめられっ子がロボットに便利な道具を出してもらうのも、大きな怪物にさらわれたお姫様を助け出すために髭の男性が跳ぶのも、5人で1組の戦隊ヒーローには物語中に追加の戦士が登場するのも、全てイメージの共有が非常に容易です。

この威力は、王道ど真ん中なくらいに素直なキャラクターを作って動かしてみるだけでカンタンに知ることができます。

マスターや周りのプレイヤーに協力してもらう

2つ目は、あなたのキャラクターが物語に入っていけるように、セッションを同じくした周りの人に協力してもらうことです。

性格や能力がストーリーに沿うように見えない。けれどそんなキャラクターがあなたの今やりたいコト。なら、物語に入っていけるように相談するのも方法の1つ。

つまり、作品とTRPGの違いが予定調和の有無なら、あなたのキャラクターそのものをマスターや他のプレイヤーにとっての予定調和にしてしまえば良いのです。

物語に巻き込んでもらえるように他のPCやNPCと接点を作っておいたり、ムダに見える能力でもセッション中活躍できるようにマスターにシチュエーションを用意してもらうなど、色々手段は考えられます。

ただ、ここで大事なのが、それを周りに強要してはいけないということです。セッションを同じくするのは、あなたの仲間であってあなたを接待する太鼓持ちではありません。

他人にあなたのキャラクターの活躍を強要した時点で、その人にとってセッションは「遊び」でなく「仕事」になってしまいます。「相談」以上の強い態度は控えてください。

キャラクターからシナリオを作るタイプのセッションを選ぶ

3つ目は、先にキャラクターを作り、そこからマスターがシナリオを用意するセッションに参加することです。

これは、そもそもマスターにある程度の経験が求められます。更に準備にも負担がかかるので、マスターがこのタイプのセッションを募集したときにやれればいいなくらいの姿勢でいましょう。

ただ、もしこのタイプの募集に参加できた場合は、あなたの理想のキャラクターや設定、活躍シーンをマスターに伝えるチャンスです。

このタイプのセッションは、プレイヤーの要望が具体的であればあるほどよりシナリオの骨格が決まりやすくなります。注文住宅を建てるとき、施主の要望が細かい方がかえって建てやすくなるのと同じです。

なので、遠慮なく理想をぶつけましょう。もちろん、マスターにもできることとできないことがあるので、全てが叶うとは思うのはあまり健全とはいえませんし、他のプレイヤーの要望ともすり合わせる必要があります。

まとめ

作品とTRPGとでは、大きな違いがあります。それを認識せずに好き勝手なキャラクターを作ってしまうと、上手く物語に入っていけない可能性があります。

そこで、マスターが用意したシナリオにどんなキャラクターが求められているのかを考えたり、やりたいことがあるならマスターや他のプレイヤーと相談しましょう。

このとき、あなたの理想ばかりを周りに押しつけてはいけません。そうではなく、周りとどう物語を作っていくかを話し合います。そうすることで、あなたのキャラクターも他のPCも、難なく物語に入り込めて活躍することができます。