ギミックの盛りすぎに注意

「一生懸命シナリオを作ったが、思っていたよりプレイヤーは楽しそうという様子ではなかった」という経験は、シナリオを自作して遊んだことのあるマスターなら誰しも一度は通った道です。

理由や原因は様々ありますが、そのひとつとして「内容やギミックを1シナリオに盛り込みすぎている」という点があります。これ、意外と気付きづらいものなんです。

せっかくセッションを楽しんでもらうために、盛り上がってもらうために用意しても、「まだやるの……?」と思われては意味がないどころか、逆効果になってしまいます。

気付きづらいが故に、同じ原因でプレイヤーを辟易させてしまいがちな「ギミックの盛りすぎ」。この原因と対策について解説していきます。

過剰なギミックを前にしたプレイヤーは楽しむどころではなくなる

シナリオのゲーム的な部分を作っていると、つい楽しくなってあれもこれもとギミック、謎解き、戦闘などなど要素を詰め込んでしまいがちになります。

ですが、多すぎる要素を前にしたプレイヤーは、楽しむどころでなく「それらの要素を消化する」ことに手いっぱいになってしまいます。

たとえば、料理のフルコースや満漢全席をイメージしてみてください。たとえ味がどれほど良質なものであったとしても、食べきれないほどの量を出されて「完食して」と言われても困ってしまいます。

TRPGにおいても同じことがいえます。1回のシナリオで戦闘を何度も、調査もたくさん、謎解きやギミックも……となると、エンディングに辿り着く前にプレイヤーの楽しむ体力が尽きてしまいます。

なので、プレイヤーに提供する料理の「量」には気を配る必要があります。

時間を気にする必要がある

全員が無制限にセッションの時間がとれるというなら理想郷のようなセッション環境といえますが、現実は違います。ほとんどの場合、セッションを遊ぶ時間は有限です。

どのぐらいの時間でセッションがアフタープレイまで進むのか、これを考えずにシナリオを作ることも、「ボリューム過多なシナリオ」が生まれやすい原因となります。

すなわち、シナリオが「ギミックの盛りすぎ」になる原因は、大きく2つ、要素の数が多いことセッション時間を考慮していないことに分けられます。

裏を返せば、シナリオにおけるゲーム部分を考えるとき、量と時間の2つを気にするだけで、あなたが考えたシナリオは過不足なくプレイヤーに楽しんでもらえるようになります。

色々詰め込みたくなったらプレイヤー人数を見る

もちろん、全てのセッションに対しての丁度良いボリュームというのは定められません。セッション場所、環境、時間、システム、プレイスタイル……などなど、個々によって正解は千差万別です。

とはいえ、「ですので、あなた自身で丁度良い量を見極めて下さい」というのでは何の解決にもなりませんので、ボリュームを考えるときに参考になる指標をいくつか紹介します。

ひとつめの指標が、セッションに参加してくれるプレイヤー人数です。どういうことかというと、「色々詰め込もうとする場合、その要素はプレイヤー人数以下までに抑えると良い」ということです。

たとえば、剣と魔法のファンタジーシステムで、「シナリオは魔物に洞窟まで攫われた子供を救済する。でも町でのアドベンチャーや、洞窟内を迷路状にして謎解きもさせたい」と色々盛り込むとします。

このとき、もしプレイヤーが3人以上いるなら、個々の要素にある程度向いているキャラクターを用意してもらえば、それぞれを分担してこなすことで負担を軽減することができますし、同時にキャラクターの見せ場を用意することにも繋がります。

この場合なら、たとえば腕に自身のある冒険者が戦闘を、町の名門騎士がアドベンチャーを、魔物や世界を研究している学者が謎解きを……といった具合です。

今のは極端な例ですし、実際のセッションではそれぞれの要素に全員が取り組むことになるでしょう。ですが、「PC達の中で誰をあてにして進めればよいか」がわかっているだけでも、プレイヤーの負担は相当軽くなります。

この考え方は、「複数の事件を追う」「1度のシナリオで何度も戦闘を行う」など、同じ要素を数多く展開したい場合でも有効です。マンネリを緩和する方法として覚えておいて損はありません。

どのパートにどれぐらい時間を使えるのか

基本的なシナリオの流れは起承転結と同じく「導入→調査→戦闘→エンディング」で、大抵の場合、承・転にあたる調査・戦闘がセッション時間の大部分を占めます。

盛り込まんとする要素も、まずこの2ヵ所に当てはまる内容であることでしょう。なので、この2ヵ所が完了するまでにどれほどセッション時間を充てるのかをイメージする必要があります。

イメージとは、大まかにでも「どれぐらいの時間をかけるのか、タイムテーブルを作る」ことです。これを行うだけでも、セッションを終わらせるために必要な時間の程度が見えてきます。

たとえば、「盗賊団のアジトの場所を掴むために町で調査をし、侵入していた盗賊を見つけてアジトを聞き出すために戦闘をする」というシナリオの一部分があるとします。

調査は状況説明や判定で30分、戦闘はこれぐらいのラウンド数になる予定だから40分……というように、かかる時間を想像してメモを取っておくと、時間のかけ方もわかりやすくなり進行がスムーズになります。

このとき重要なのは、RPや休憩のための時間はひとまず含めないということです。なぜなら、これらにどれぐらい時間を使うのかはそのときのプレイヤー達に寄るところが非常に大きいからです。

セリフを考える時間や発言時間、トイレが近い、キャラクター同士の掛け合いに悩む、飲み食いをする……などなど、人によって千差万別なこれらの時間を前以って把握しコントロールすることは非常に困難です。

そこを考えなくとも、説明や宣言、判定などの「ゲーム部分」に必要な時間をイメージしておけば、自ずとセッション進行中にRPや休憩の時間がどれぐらい取れるのかが把握しやすくなります。

この「時間を考える」こともまた、シナリオを作る段階で準備ができる部分です。セッションを時間いっぱい、目いっぱい濃密なものにするためにも、是非意識してみてください。