思い込みによるすれ違いを避けるために

セッションによくある事故のパターンとして、マスターとプレイヤーが同時に「こんなことになるハズじゃなかった」となってしまうというものがあります。

どういうことかというと、マスターの描写やハンドアウトに対して、プレイヤーがマスターの想定とは違う内容に思い込んでしまうのです。

厄介なことに、この思い込みにマスターが気づけるのはプレイヤーの行動や、ひいては結果が現れてからになる場合が多いです。そうならないために、何を伝えるべきかの優先度を意識する必要があります。

「こう描写したらこうなってくれるはず」が引き起こす悲劇

「これだけ描写すればこう考えてくれるだろう、動いてくれるだろう」と、雰囲気重視の描写や曖昧な描写をしたが故にプレイヤーと認識のすれ違いが起きるケースは少なくありません。

たとえば、「PC達はビルの最上階に向かっているが、エレベーターの前に銃を持った男が複数人いる」という状況であったとします。そしてマスターの想定は「非常階段を見つける」だとします。

ただ、これでは「男たちをおびき寄せて隙を突いて乗る」「ビルの外から登れる手段を探す」「こちらも銃を用意して倒す」等、様々な方法を考えられることになります。

もちろん、それらに即座に対応、または複数の解法を用意して「登る方法に必要な判定や描写」ができるマスターなら問題ありませんが、そうでない場合「それはできない」「殺されて失敗に終わった」などの処理になり、プレイヤーは不満を抱く結果になります。

描写の優先度を意識する

上手いマスターは、何を伝えるべきかを描写の内外で明確にします。

先述のビルの例なら、描写に「正面から撃ち合えば、血は免れない。速やかに登る手段は他にあるはずだ」とまで加えます。

そうすることで、プレイヤーは「そうか、銃を持った男たちを直接対処する必要はないな」と考え、マスターの想定する進み方を取る可能性が非常に高まります。

もちろん、これだけでは相変わらず「外から登る方法を探す」の選択をとる可能性は充分あり得ます。そこで更にビルの地図を見せる等して非常階段があることを示せれば、非常階段を見つけそこから最上階目指すようになるでしょう。

ここで大切なのは、「銃を持った男たち」が「突破するべき障害」なのか「迂回するべき壁」なのかをきちんと明示することです。マスターが男たちのディテールや銃の解説などをいくら重厚にやったとしても、雰囲気ばかりで役割が伝わりきりません。

意図を明示することは、決してネタバレとはなりません。むしろ、「こうしてほしい」がしっかり伝わることで、プレイヤーは安心して行動やRPに集中することができます。

すれ違いは些細なことで頻繫に起きる

ここまで「伝えたいことを描写していないと事故が起き得る」ことについて書いてきましたが、マスターをやる前にこれについて怖気(おじけ)づく必要は全くありません。

こうした、伝達不足や思い込みによるすれ違いは、セッションの中に限らず私たちの日常生活の中でも頻繫に発生します。

あなたもきっと、会話やチャットの中で「ヘンな伝わり方をしているな」と感じたこと、相手に伝えたことや、逆に「間違った捉え方をしているよ」と言われたことがあるはずです。

それほど、認識の齟齬は起きやすいものです。そして、それをできるだけ防ぐ方法が「確認する」ことであることも、既に同じくらい体験していると思います。

セッション中でも、「ここまでで聞きたいことはありますか?」と合間合間にプレイヤーに問いかけ確認することで、よりすれ違いを防ぐことができます。

もしこの記事で、描写やマスタリングに不安を抱いたら、このことを頭の片隅に入れておくと良いでしょう。